運営の現場で感じたこと

年末の国政選挙が近づいている。
唐突感は否めないが、しっかり向き合うことが必要。
そのようななか、伊藤光晴氏の著作を続けて読んだが、興味深い。
 



ところで、、、、

今月初め、あるホテルに宿泊した際に感じたこと。
そのホテル、開業して25年、約160室、コンセプト型ホテルの草分け
このため、小型宴会場、レストラン、等、客室数に合わせ、バランス良く設計されていた。
家具類も、オーナーと設計者がヨーロッパに飛び、古家具等を仕入れ、一定の雰囲気を醸し出していた。
設計した人も知っているし、前職の某ホテルを設計した、腕のある人。
神戸らしさを満喫できると、女性にも人気が高かった。



今回の宿泊は婚礼披露宴に出席するためであり、宿泊予約はブライダル関連として、手配されていた。
2人だったので手配はDBL、その部屋は面積16㎡、ベッド幅1400、とまず驚いた。
SGLの間違いでは? とフロントで確認したが、当ホテルはこれをDBLとしています、との回答あり。
ただし、同ホテルのファクトシートによると、SGL:15〜17㎡、DBL:18〜21㎡、TWN:19〜40㎡、となっていたため、虚偽説明。
宿泊料は、税込26,000円、、、、
土曜日宿泊ということもあるが、価値と価格の乖離が酷い
同行した長男夫婦+baby、ダブルでの添い寝ということを想定していたが、1400幅のベッドでは添い寝もできず、睡眠不足。

精算の時、フロントマンに質問「ずいぶん高いねぇ。宴会関連宿泊だから割引あり、と思っていたけれど、びっくりしたよ。。。。」
これに対し、「土曜泊だから、それでもOTA予約よりは下げている。ただ、土日2泊パターンの人が、日曜日の価格が土曜日価格の1/5の時もあり、びっくりされることがある。」
とのこと。


昨今、レベニューマネジメントが普及、提供価格は市況によって大きく異なることは当然のことであり理解もできる。
SGLをエコノミーダブルとして、安めに販売することも、市場がある限り、わかる。
神戸は週末マーケットであり、土曜日宿泊が稼ぎどころであることはよく理解できる。
ただし、職業柄、1週間前のOTA提示価格を調べていた。
市内にあるトップクラス都市型総合ホテルと価格比較をしてみたが、25〜30㎡のDBL客室(ベッド幅1800〜2000)で、グロス20,000〜25,000円程度の価格設定であり、納得感はあった。
16㎡、1400幅は、エコノミーダブルとして、グロス15,000円程度での提供であれば、神戸の市場感でいえば許容範囲。
神戸市内におけるホテル運営実績も把握しており、提供価格もある程度想定できる。
このホテル、通年でみると、DBL稼働が高い割にはADR:8,500円程度、客室稼働:95%程度


価格以外にも、手配のまずさ、グループムーブメントを理解していないフロントの運営スキル、出発時の会計の間違い、等々、何とも言えない内容だった。
タリフを公示せず、市況に合わせ、施設品質・能力以上の価格提示はタコツボ営業となる。



元来ブライダルを積極的にとるホテルではなかったであろうから、各施設の内容、顧客動線等、1日で2回転超のブライダルには不向き、相当に無理をしている。
披露宴会場への入場待ちをホテル玄関前の車道に並ばせている光景には唖然とした。
朝食も同様、レストランでの落ち着いた朝食ではなく、宴会場、内容は推して知るべし。
レストランはウェディング使用が常態となっている様だ。


ゆったりした客体を想定、また施設効率を優先したのか、業務用ELV無し。
朝10時からのブライダルを受注したためか、ロビーは出発客とブライダル客が混在して大混雑。
清掃ワゴン、清掃員も客用ELVに同乗、縦動線も大混雑。
客室階でも8時前から、リネンワゴン、掃除機、その他が集結、出発客に対する配慮は全く無し。
聞くと、花嫁が動く時間帯はELV使用禁止、早出とのこと。



25年経過したホテルとはとても思えない運営品質のひどさに怒りさえ覚えた。
リブランド等により運営組織が解体されたホテルも数多く見てきたが、このホテルチェーンは異業種参入組であるも
、チェーンは拡大している。
と、いうことは、数字の締め付けが厳しく売上至上主義、ホスピタリティ産業としてのプライドをホテルスタッフが維持できなくなったのだろうか。


ホテル設計者は、現状と当初コンセプトとの乖離をどう思うことだろう。
ホテルは、施設品質・運営品質・提供価格が合致してこそ評価される、ことは当然のこと。
この様なホテルで、ホテルパーソンとしてスタートした若者、どの様に育っていくことだろう、と心配になる



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