リノベーションで思うこと

久々のブログ
最近、どういう訳か、とにかく忙しい。
そういったなかでも、面白いものはしっかり見て歩いてもいる。
ある店にあったディスプレィ、その店のお客さんにもらったというお面、何ともユニーク
今日の自分はどの顔だろう? と思って眺めた。



ところで、、、、
ホテルのリノベーションを考えるチャンスがあった。

業務ビル、商業施設、物流施設、レジャー施設、等々、いずれも求められる要素が変化している。
施設規模もさることながら、様々なシステムが進化している。


ホテルも同様、市場(=顧客)の嗜好が変わり、お金の使い方も変わってきた。
一昔前のホテル事業者の多くは、グレードの高い総合型の施設を指向、施設規模も大きくなっていた。
このため、運営に要する人員も一定数を確保する必要があった。
もちろん、投下資本も大きく、投資回収にも一定期間を要する(ただし、右肩上がりのFSが大いに貢献)ことが一般的であった。


しかしながら、バブル崩壊、その後は暗い世相が長く続き、豪華なホテルは立ち位置に苦労、身売りも進んだ。
航空業界におけるLCC同様、ホテル業界にもバジェット系宿泊特化型ホテルが多く建設され、宿泊料金体系も一変した。
大型総合型ホテルは首をすくめ、人件費等の固定費削減で何とか乗り切ってきたということが現実の姿だった。


数年前からの景気回復により、長くリノベーションを我慢してきた大型ホテルにも、リノベーションを計画、実行するホテルが増えてきた。
そういったなか、個々のホテルをみると、リノベーションにも違いがある。

・マーケットポジションを変えず、リニューアルする
 つまり、表装リノベーションに止まるケース
・マーケットにおけるポジションを現状分析により冷静に判断、リポジショニング
 その訴求マーケットが求める施設内容に大きく変えていく、施設リストラを含めたケース


前者、事業性を正しく確保しながらのケースでは問題にならないだろうが、思考を止めた単なるリノベーションは投資効果に限界がある

後者の進め方については、様々なケースが散見される。
自ホテルの状況を市場目線で冷静に分析、域内競合施設との差別化を含め、市場での立ち位置をどの様に実現できるか否かで結果が分かれる。
先日話したある独立系の温泉旅館経営者、「地域一番店は狙わない。コストもかかるし、常に追われる緊張感に耐えることができない。」とのこと。
規模ではなく、自ホテルの魅力ポイントに集中投資、ウリを作り、その品質維持向上に力を注ぐ、という。
これもひとつの方法だろうと考える。


また、立地環境の変化により、対応方針が異なる。
そもそもの市場変化に加え、周辺企業の撤退等により当初企画と大きな環境変化が生じたケースの場合、大型宴会施設、数多くの料飲施設といった不採算施設の廃止・転用まで踏み込む必要が生じている。
リゾート施設も同様、20年も経過すれば、市場環境は大きく変わる。
立地するリゾートの特性・変化を分析し、新たなマーケット(=顧客嗜好)に対応することができるか否かがポイントとなる。
つまり、販売計画の見直しを含め、自ホテルのポジショニングを確認、市場の変化に正面から向き合って施設リストラができるか否かが肝となる。


限られたリノベーション予算をどの様に配分するか、知恵の出しどころ。
最近、本部からの大方針は守りながらも、運営責任者が自ホテルの運営組織を巻き込んで議論、方向性を共に定め、実施することが大事、と実感した好事例に出会った。
自分達が参加したリノベーション企画が実現、顔つきも自信に満ち、顧客にも好感を持たれる運営に進化している。
しかも、その施設を大切にする、という副次効果も現れている。



市場の変化もさることながら、運営要員の考え方・行動も着実に変化している。
このことを忘れると、リノベーションが成功しない、ことは明白。


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