システムアシュアランス

APEC閣僚会議が開催されており、いよいよ元首級会議。
かの国の主席も来日するが、今回はどの様なトリックで楽しませてくれるのだろうか??


エコノミスト』2010.11.16号の記事(筆者:平本充氏(三菱総合研究所))
毎日jp(11/08)でも読むことができる( http://mainichi.jp/life/money/kabu/eco/pickup/
システムアシュアランス」、読み進むと頷く点が多い。
少し長くなるが、論文を抜粋してみよう。
システムアシュアランスとは、制御系を含むさまざまなシステムが、規制や顧客が要求する運用時の安全性、信頼性を満たしていることを合理的に示すための、いわば「ものづくりの設計アプローチ」を意味する。
設計−製造−運用−保守−撤去、この一連のフロー、製品のライフサイクルを通じて、ものづくりの過程をドキュメントによって管理し、使い手の要求事項を満たしていることを科学的に証明する必要がある。
日本の作り手は、現場レベルでのすり合わせでものづくりを行うことが多く、行き当たりばったりであり、設計時の計画を軽んじている傾向がある、という話を聞くことが多い。
世界市場で日本が競争力を確保できるかどうかは、世界の市場でどのような手法が標準として求められているのかを理解し、それに対応できるかにかかっているのである。


良いものは万人に評価される、という思いこみの強い日本人に対する警鐘であろうし、これをクリアしないと海外での展開は望めない。
世界標準を理解し取り込むことを怠ると、いかなる産業でも生き残ることができない、と述べている。
すりあわせによるものづくりと、欧州的なプロセス規格によるものづくり、結果に対する優劣の議論ではない、とのこと。


10月23日のブログに、ホテル開業時の対応に関することを少し書いた。
外資系チェーンと比較して、日系チェーンは、日式すりあわせによる、1)開業準備期間が長い、2)アサインされた開業準備責任者により開業準備業務品質に差が出てくる、ということであった。
期間に対する議論はさておき、業務品質にバラツキが出るというのは大問題
確かに、プロセス規格が明確でないと差が出るのは当然


これは、前職でも経験したこと。
運営受託者として、提供品質の平準化は必須であり、品質にバラツキが出るのは、そういったアプローチをしていないということだろう。
結果のための各種基準のみでなく、プロセスに関する基準、およびこれらを運用する担当者、責任者に対する教育を行うことにより、所与の目的を達成することが可能となると考える。
ハードルは高いが、越えなければならないこと。


ホテルは工業製品と異なり注文生産品である、と誤解される向きもあるが、本質は規格品。
サービス品質に関しても、基準が制定され、それに沿った教育がなされる。
開業準備期間中の業務は、ホテル運営・販売システムの総合的構築、ホテル施設設計における要求機能・品質の確保、の二部に括ることができる。
開業後の期待成果を出すための事前準備業務である、と言い換えることもできる。


分かり易い例として開業準備業務を取り上げたが、開業後のホテル運営管理業務も同様。
ホテル運営管理委託契約は、ある意味で経営委託契約。
受託者は、委託者に対し、受託し実行する業務内容をプロセスを含めてロジカルに説明、アカウンタビリティを果たすことが求められている、と断言できる。
直営ホテルも同様、運営責任者には経営・投資家に対する説明責任は当然の様にあるし、習慣づけることにより、自分に対するチェックが可能となる。


システムアシュアランス、ホテル事業には関係ない、と思っていたが、読み替えてみると、実行するべきポイントがみえてくる。
視野を広く、思いこみ無しの情報収集の必要性を改めて感じた。



http://www.timeandtide.co.jp/