ホテルの運営品質は何に拠る?

東野圭吾の新刊「マスカレードホテル」を読んだ。
犯罪発生を未然に防ぐストーリー仕立て。
このなかで、ホテルのことが実にうまく描かれている。
で、そのなかの女性スタッフ、および総支配人、ホテリエの鑑
こういう人がいるホテル、顧客満足度の高いホテルであること間違いなし。
Rホテルが協力した様だが、良い仕事をした。



この本に刺激され、ホテルの運営品質について、少し考えてみた。

ホテルの基礎、これは開業準備段階に作られる
つまり、初期段階での、そのホテルDNAが良質であればある程、良いホテル度が継続するし、進化する
かつ、一旦途切れると、回復は容易でない
このことは、数々のホテル開業・運営改善に携わった経験でも明らか。


この開業準備の業務品質、これをひと言で整理すると、現場に出た開業責任者の資質にかかっている、といえる。
チェーンホテルとして、システム、マニュアルを整備しても、それを理解し実行するのは人。


では、開業責任者に求められる資質はなんだろう?
順不同でリストアップしてみた。
・人に対する優しさ
・常に全体を見ることのできる視野の広さ
・ホテル運営全般に対する業務知識
・バックボーンとして持っている専門分野
労務管理力と忍耐力
・やり遂げる、という意志の強さ

これに加えて、どの様なポジションでもよいから、該当ホテルクラスの開業準備経験があると、なお良い。


ただ、開業責任者だけではスムースな開業はできない
大型ホテルでは年間100億円以上、宿泊特化型でも10億円程度の売上を出す組織の準備業務、ホテル規模の大小はあるも、業務は広範囲にわたる。
このため、開業準備グループ全体のチーム力も問われることになる。
資格要件をもつ責任者、それを支える準備チームの総合力だろう。


ブログで数回取り上げた、前職時代の大阪のホテル、印象的だったのは、数百名いた新卒社員の集合教育
若手社員(開業後は課長、主任クラス)がグループリーダー、補助要員となり、いくつかのグループを組成、ある意味で競わせてもいたし、内容も濃かった。
この集合教育で、社員のベクトルがひとつになる、と同時に、グループ運営に携わった人達は組織運用の要を学び、開業後の躍進の原動力となった。
その時の開業準備室長、前記の資格要件を備えた人、主要メンバーもよく支えた、と思う。


ホテルも既に成熟産業、その環境は大きく変わってきた。
業界が成熟すると、価格競争が始まる、という。
需給バランスも崩れ、経済環境の激変とも相まって、ホテルの価格競争は熾烈になっている。
時代の求めるものを提供することが、生き残る道だろうが・・・・


どーだろう??



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