宿泊特化型ホテルの事業企画って??

カップ、面白い。
決勝リーグは、放映時間もまあまあ、1次リーグとは異なり、安定して楽しむことができる。
ドイツvsイングランド、大人の試合といった雰囲気だった。
メキシコvsアルゼンチンはまた異なる雰囲気だった。
南ア、南米とかが絡んだ試合は、色彩面でも、プレイでも独特のものがあり、面白い。
どちらかというと、後者の試合が好きだな。


ところで、今日は少しまじめな切り口で・・・・
どの業界でも同様であるが、参入障壁の低い事業は、競合がひしめき合う。
また、自社にとっては新規参入事業との位置付けかもしれないが、大激戦区に参入しようとしている場合が多々ある。
宿泊特化型ホテルには、ある意味で、1/365日利用のレジデンシャルのノリで参入しているケースが多い。


歴史的にみると、
駅前旅館=商人宿時代から、ワシントン・サンルート東急イン等のビジネスホテル全盛時代へ。
ワシントン等のチェーンホテル以外にも同一価格帯のホテルが各地で多く開業した。
こういった時代が永く続いたが、東横インが、1986年に蒲田、翌年西千葉で既存施設のリニューアル企画で売り出した。
当初は、出張先で「東横インに泊まっている、なんて、飲んでいる場所では恥ずかしくて言えない。」とある意味であだ花的な存在だった。
一般的なホテル屋は、同業とは思っていなかった。
しかしながら、現在は客室数43千室、220施設と、巨大なチェーンとなり、市民権を持つ、というより、業務出張需要に対する価格決定者のポジションを確保した。
同様の宿泊特化型ホテルも、スーパーホテル、ルートイン、アパホテル等々、沢山開業し、地方では品質の良い既存ホテルを含めた業務出張需要(シングル需要)の価格破壊が進んだ。
しかも、需給関係が崩れた地域では、いまだに価格低下が進行中。
首都圏では、ビラフォンテーヌ、プレッソイン等のチェーンが誕生した。
また、地方私鉄系チェーンが最大発地である首都圏での知名度アップ、所在地出張客を取り込む目的で、首都圏に出店してきた。
こういった状況のなか、バジェットクラスとは異なる、一段上をねらう、という宿泊特化型プレミアクラスが企画された。


宿泊特化型ホテルは、乱暴に分類すると、バジェットクラス、中間クラス、プレミアクラスとなる。
中間、プレミアは、特化型といえども、朝食をフリー&セルフサービスにせず、テナント等をいれてレストラン対応をしているホテルもある。


ひとつのホテルカテゴリーで、これだけ細分化されると、利用者目線では、その違いが分からなくなる。
企画担当者は、他の宿泊特化型ホテルとはひと味違う、新しい企画というが、利用者には良く理解されない。
従って、客室タイプ、提供料金、客室面積、新しさ、立地場所(利便性・視認性)、利用メリットといった分かり易い基準での評価となり、ネット上でもその様な評価ポイントが用いられている。
特に、業務出張客が主たる客層であるシングルルームで顕著。
そして、最後はお決まりの価格勝負となる。
イールドマネジメントで単価を上げ・稼働をのばす、といっても、目の前の価格競争に乗り遅れたら、このカテゴリーホテルはお終い・・・
そういった焦燥感にかられる、どんどん運営が難しくなったカテゴリー。


ホテルポジションをカテゴリー別に分ける手法は様々だが、筆者は「価格負担可能カテゴリー」が真性カテゴリーだと考えている。
従って、少し位、他ホテルと変えても、利用者が同一グループで評価する場合、所詮は提供価格評価に収斂する。
現在の利用者は、利用目的別の予算額を明確に意識、イメージ作戦には簡単にのらない!


このクラスのホテルを新規に開業する場合、、、
施設設計は、基礎要件を設計者に伝えれば、それなりのものを設計してくれる。
施工者も、難易度の低い建物、それなりの価格で施工してくれる。
シンプルな運営組織でもあり、FSも簡単に作ることができるだろう。
しかも、1ホテルオープンしたら、分かったつもりになり、後は流れ作業となる。
(ポイントが分からなければ、怖さがみえてこない。)


しかし、、、
主たる営業内容が宿泊だけ、ということは、それが崩れたらお終い、ということである。
参入障壁が低いということは、少しでも可能性がある土地があれば、ごく簡単に新規参入がある、ということであり、事業企画時に想定した需給関係は簡単に崩れてしまう。
変動要素が少ない分、感度分析も作成し易いが、逆に作成者の理解度により、感度分析になっていないことが多い。
ホテル施設は、建設後はホテル施設そのものを動かすことのできない、ある意味でやっかいなもの。
だからこそ、企画時の正しい検証が求められることになる。


2000〜7年、土地代が下がった時代に仕入れ、建設された、多くの宿泊特化型ホテル、実によく似通った事業企画、現在の運営状況はどうなっているのだろう??
リーマンショックで出口戦略が見えなくなった、という話を良く聞くが、理由はそれだけなのだろうか???



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