成功体験(と失敗体験)

西日本は豪雨
東京は、ほぼ梅雨明け??
今日も暑そう・・・



長い人生には、失敗もあればうまくいく場合もある。
事業においても同様。
この1週間、様々な人に出会い、また現象をみていると、こういうことが頻繁に発生することがわかる。
交互にというか、どちらかが継続して起こることの方が多い??


民主党
党首・首相交代に伴い、内閣支持率が60%台に上がったが、消費税発言?により、急降下。
その後の参議院選挙で、敗北。

実は、ホテル事業にもこれがある。
みんなが経済成長の恩恵を受け、更なる上を目指していた時代。
良いものを提供すれば、それに需要がついてきた。
他事例を模倣した、少々荒い企画でも、需要がそれを満たしてきた。


業界は異なるが、数十年前の象徴的なトヨタの広告キャッチ
『いつかはクラウン』
同社には、パブリカ、カローラ、コロナ、マークⅡ、クラウン、と段階的に車格の高い車に乗り換える、という、非常に分かり易い商品構成があった。
で、その頂上・あがりが、クラウンだった。


ホテルも同様。
価格帯の異なる様々なホテル。
価格と施設品質、これに加え『格』、という言葉も存在した。
『格』は、立地位置・環境が決め手となるケースが多い。
地方では、お城跡近く(丸の内)がその代表格であろう。


東京では『ホテル御三家』、といわれる時代があった。
オークラ、帝国、ニューオータニ、それぞれ特徴ある、日本を代表するホテルだった。
関西では、新大阪ホテルからの歴史を引き継いだロイヤル(現リーガロイヤル)が、その規模・スタイルから、西の帝国と言われていた。
その他、地方には、分かり易い表現として『地名+グランド』を冠した、迎賓館的なホテルがあった。

この時代、良い施設で良いサービスを提供すれば、その需要は確実に存在し、また『いつかはクラウン』的なハレ利用も存在した。
(これらは、そのホテルにいる人にとって、確実に『成功体験』であったことだろう。
その成功体験は、本当にそのホテルの実力だったのか、あるいは、時代背景がその理由だったのか、の分析は、残念ながらできていない。)

しかしながら、これらの多くも崩壊した。
それは、ホテル事業そのものの苦境に加え、本業回帰・集中による関連事業の整理、という側面もあったことだろう。
また、当初経営が代わらないホテルであっても、B/Eがいまだ高止まりしたままで、需要減に対応できていないケースも散見される。


リストラによってホテルを去った社員、残った社員。
去った社員は再就職を含め、それなりの荒波をくぐっており、常識的なホテルマンは時代に対して自分のスケールをアジャストしている。
が、残った社員、その後の新たな事業展開の局面で、昔のよき時代の残骸を引きずっている場合が多々ある。
下品な言い方をすれば、『プライド・過去の成功体験で飯は食えない』ということをどこまで理解しているのだろうか?、と疑いたくなる開発屋が確実に存在する。
ホテル事業の本質を理解していないオーナーに対して、事業性のなんたるかを理解せず、「うちのブランドは!!・・・」、といった時代錯誤の発言。
経営・運営が同一組織の場合、結果責任はその会社が負うことになる。
しかしながら、運営委託では、経営責任をそのブランドは負わず、委託契約を解約しても、事業性に問題のある施設だけが残ることとなる。
運営委託のみでなく、テナント(事業者は不動産事業)でも同様。
施設は、当初テナントの要求に基づき、建設される。
大方の場合、事業性を確保した計画は賃貸借契約延長となるが、事業性が低い場合、期間内撤退を含め、当初テナントは撤退し、運営委託ケース同様に、事業性に問題のある施設が残ることとなる。
運営委託、テナント、何れの場合も、事業者としては、委託先、テナントが変わる時のリスクを考え、事業者としての軸を堅持し、彼らの要求を聞き過ぎないことだろう。
そのためにも、事業者側に見識を持ったプロジェクトマネジメント機能が必要


これまでのブログでも数回書いたが、事業性確保には、『詳細な市場調査、コンセプト設定、・・・』と段階をおった厳正な検討が必須であり、この検証がブレてはならない。
企画・施設設計の検討時、「うちのブランドにはこのグレードが必要・・・・」の切り口は、事業性評価を放棄している、としか考えられない。
事業費と運営収支のバランスチェック、および感度分析はマスト項目
月曜日からの出張で、某ホテルチェーンによる新企画ホテルの失敗を目にした。
ノウハウが蓄積され、十分に検討されたはずなのに・・・・
そして、もうひとつ、そういったケースが出てくるかもしれないことを危惧している。


失敗は、市場が求める機能・要素を無視はしないまでも軽視し、ホテル事業者(供給側)の論理を優先するケースに多い。
ホテル事業においても、『市場に聞け』という言葉は確実に存在するし、最大の要素だと考える。
ただし、市場は移り気、自社の基本的な考えがないと、根無し草になってしまう・・・


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