ホテルの総支配人

今日は、朝のブログができなかったから、お昼休みに書いている。


キムさん、軽井沢で、拉致被害者の家族の方々と会っている。
どのように細かいことでも良いから、いろいろ情報をあげて欲しい。
家族にとっては、かの地は想像の世界でしかないのだから、たとえ昔のことでも、実話は最大のプレゼントだと思う。
このような機会を設定した機関にも感謝


ところで、ホテルの総支配人
最近は少なくなったが、地方では名士、東京でも名物総支配人が多くいた。
ホテル経営会社の社長はロータリー、総支配人はライオンズ、のメンバーが当たり前、の時代。
これは、多分に営業活動の意味もあった。
大型ホテルでは、GMがロータリー、営業部長がライオンズ、ということもあった。
総支配人はホテル屋の上がり、しかも、ひとつのホテルにGMは一人だから、権威がある。
入社面接の際、「夢は総支配人になること。」という学生もいた。
もっとも、こういった発言は、ホテル学校関係卒業者に多かった。


環境が変わり、ホテル事業は収益性を追求する事業となり、総支配人の苦労は大変なものがある。
簡単に、「総支配人になりたい。」、と笑顔で言う時代ではなくなった。


総支配人を英語で書くと、GENERAL MANAGER、 略称をGMという。
このため、GMを様々な略称にたとえて言う人がいる。
GARDEN MANAGER、 GOLF MANAGER、 GROUND MANAGER ・・・ いろいろある。
以下に、概要を説明するが、該当する固有名詞を挙げろ、と問われれば、いつでも言えます!!


GARDEN MANAGER
リゾートホテルでは、よく言われること。
沖縄では、台風一過、木の葉を含め、施設内にゴミがあふれ、その掃除をしなければならない。
ホテルのお手すきは全員ゴミ袋を持って、施設内を回る。
ギリギリに絞られている人件費でやっていると、総出号令がかかる。
総支配人も当然のこと、頭数に入っている。
そういう時に電話すると、この言葉が出てくる。
台風の後にリゾートホテルへ行き、この場面に遭遇した時、「お疲れ様」と声をかけてあげよう。
でも、革靴でゴミ拾いをしている人を見た場合、「そんな格好では能率が上がらない。」と、注意して結構です。


GOLF MANAGER
仕事をしないで、ゴルフばかりやっている人?
そんなことはないと思うが、ゴルフ好きの総支配人は自嘲気味に、また部下の人達も、そう言う。
でも、いるよ、ゴルフ三昧の人・・・
本部から遠く、かつゴルフ場が沢山ある地域のGM、楽しんでいる人は確実にいる!!


GROUND MANAGER
あまり使わないが、いつもホテル敷地内を見回るGMのこと。
雪の多い地域のホテル、「朝一番、ホテル玄関回りの雪かきがGMの仕事。」、と言っていた人を、密かにそうよんでいた。
毎朝出社した時、地下から最上階まで、倉庫・厨房まで見回り、社員に声をかけているGMを知っているが、そういうGMのいるホテルは、当然のこと、営業成績が良いし、社員間の信頼関係もあつい。


送支配人
適切な英語はない、日本語での名称。
欲張った客室コントロール(業界では当然のこととしているが)で、当日になっても実予約が客室数をオーバー、近隣他ホテルへお願いする場合(『他館手配』という)、総支配人は送支配人と化す。
ホテルの玄関でひたすら、謝り、車を手配し、他ホテルへ送り出す。
稼働率100%はうれしいことだけど、実予約の人がドタキャンで来なくなり、結果として100%未満の稼働率となった時は悲惨。
他ホテルへ送った費用、その他諸々の経費がかかるこの事態に、100%を切ると、説明に苦慮する。
しかしながら、これを恐れていると、特にリゾートホテルでは、客室稼働率の上積みはできない。
この見極めが、客室コントロール係と総支配人の腕の見せどころとなる。


GENERAL MANAGER
正統派、総支配人。
GMは、実質そのホテルの経営者。
笑顔だけでは務まらない。
だからといって、いつもしかつめ顔では、社員が離反していく。
ホテルも一般企業同様、上に行けば行くほど、数字との勝負になってくる。
設定した利益予算をクリアすることは当然のこと、上積みはどの位か? と問われる。
労働集約産業であるホテル、労務管理は必須であり、常に社員のモチベーションの維持向上に努めなければならない。
しかも、衛生・安全管理は必須。 食中毒、顧客の事故があれば、信頼は地に落ちる。
求められることはまだまだ沢山ある。
名誉職、ホテル屋の最高の上がり、というポジションではない。
常に走る体力も要求される。
このような厳しい職種であり、これはホテルの規模は関係ない。


前職でのこと。
ホテルPMSを担当していた頃、既に鬼籍に入られたが、海外の某ホテルに名物社長がいた。
外部ホテルのGMを経験し、引退しようとしていた人を、そのホテル会社の社長に招聘された。
その国の観光関係の会議・会合では、親会社の支店長よりはるかに上席、大臣クラスと並ぶ席だった。
N社の営業を社長へ紹介した時、その営業マンが英語で挨拶。
「社長は日本人。英語じゃなくて日本語。」と声をかけたが、その位、現地にとけ込んでいた。
この方に教えられ、鍛えられたホテル屋は多い。
PMS導入のため出張ベースで長期滞在していた時期、折にふれて、薫陶を受けた。
様々な言葉のなかで、『経費管理は予算の80%。期中に何があるか分からないし、予算を持つと、売上をおいといて、経費予算を使いたがる。』が、印象に残った。
考えてみれば当たり前のことだけど、そーだよな、と感心した。


幸か不幸かGM経験はないが、はたから見ていて厳しいことを分かっており、望んでやりたい仕事とは思わなかった・・・・
全国のGMに、ただしグリーン上ではなく、現場で汗をかいているGMに対し、尊敬の意を表します。


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