ホテルグレード、って?

最近の靴、つま先が長い。
今朝も、びっくりする位長いのを見かけ、思わずしげしげと、その人の顔を見てしまった・・・
普通に歩いている時は気にならないが、混んでいる電車のなかでは大いに迷惑。
椅子に座っている人でも、つま先が妙に出ていて、前に立ち難いし、踏んだら睨まれる。
なんとかならない? と思う位じゃま。
これまでは、男性の靴、家に帰ったらシューズキーパーを入れ、つま先が上がらない様にしていた。
しかも、かえりがよい様に、皮底が基本、とされていた。
先の長い靴は、つま先が反り返っている。
確かに、歩く時のために、そうしておかないと、つまずいてしまうのだろう・・・
と、朝の一件で、馬鹿なこと考えてしまった。


気を取り直して、

ホテルグレードを決定する要素は何だろう?
有名ホテルチェーンはブランド毎に、施設品質基準、運営(サービス)品質基準、器具備品品質基準、等の各種基準を設定、厳しく運用している。
このため、自社ブランドに馴染まない条件での進出は、一般的には行わない。
それは、開発屋の仲間内では常識とされるが、時として、お〜、という様な立地に出店するケースもある。
大ホテルチェーンの多くが投資家グループに買収され、その性格が変わってきた、とも感じている。

グレード要素をざくっと整理してみた。


立 地
いくら立派な施設を作っても、『掃き溜めに鶴』では様にならないし、評価されない。
やはり、現在の立地環境を良く調査し、かつ将来を見越した計画が必要となる。
以前にも書いたが、立地環境は20年程度で大きく変わることが多い。
一方、ホテルはその立地から動くことができない。
このため、絶対評価相対評価に耐える必要がある。


施 設
これは、規模、形状、外観、顔、といった複合要素がある。
日本では素材感も大事にされる。
建物で、他ホテルとひと味異なる、ということは、費用の面でも多額、トップクラスのホテル以外は困難。
特に、複合施設内に入居する場合、差別化が難しくなり、その施設全体で決定されることとなる。
ただし、大型地域開発では、各々独立した建物として、存在感を表すことは可能。
福岡市・キャナルシティ内のグランドハイアットワシントンホテルの両立が好例であろう。、
宿泊特化型ホテル、規模からみても工夫が容易、ただし、これはグレードというよりファサードのデザインで差別化を図ることとなる。


FFE(=Fixture Furniture & Equipment)
館内に入ると、やはりインテリアデザイン、手に触れるもの、等が評価対象になる。
かつ、長い時間、評価対象となる要素である。
滞在中、パブリックエリア、客室内共に居住空間として評価するためであり、アプローチ時の評価である建物とはその性格も重要度も異なる。
他ホテルとの差別化を検討する場合、一般的にはFFE、あるいはHOE(=Hotel Operating Equipment)での違いということになる。


FFEとHOE?
ホテルでよく使われる、FFEとHOEの違いは何だろう?
FFE:インテリアデザインに関係するもの
HOE:FFE以外の什器・器具備品類
    開業時は、倉庫品に洩れが出ると困るので消耗品類も入れる場合がある
いずれにしても、FFEとHOEの境はかなり曖昧、人によって仕分けが異なるため、自分はHOEという言葉はできるだけ使わない様にしている。
つまり、予算取りの時、もれ無き様、FFEのにHOEが含まれるとして、一括りすることにしている。
PMS(ホテル内の業務処理に使う情報機器類の総称、狭義にはコンピュータシステムのこと)同様、HOEという表現は、外資系ホテルが進出して広まった表現では? と思っている。


インテリアデザイン
内装はFFE共に、顧客評価対象として、ある意味最大の要素。
宿泊特化型ホテルでも、プレミアクラスはインテリアデザイナーを起用している。


ランドスケープ
リゾート施設は言うに及ばず、街中のホテルでも評価対象になる。
建物配置計画、事業予算にどの程度考慮されているか、が、結果としての評価に現れる。
余った予算で、木を数本植えました、花壇を作りました、というのはランドスケープとは言わない。


サービス品質
これは、なかなか説明が難しい。
前々回、料金負担力による区分けが、真性ホテルセグメント、と整理した。
どのセグメントをターゲットとするかで、サービス品質グレードが異なる。
このため、善し悪しではなく、提供するサービス品質が、ターゲットゾーンが求める品質基準にマッチしていれば良し、とするべき。
過剰サービスはビジネスではない。
ただし、安い料金を出したからサービスも本来の基準と比較して限定的、というのは宜しくない。
そのブランドサービスを求める利用客にとって割安感が消え、不満が残る。


清掃・メンテナンス
品質要素の多くは、経年劣化する。
また、日常の使用で汚れる。
どのセグメントもきちんとした清掃は必ず要求する。
メンテナンスも同様。
この要素が、本当は一番大きいのかもしれない。


安 全
宿泊施設として基本中の基本であり、そのために錠前にこだわるホテルチェーンは評価が高い。
どの様なキーシステムを採用するかで、グレードも決まる。


まとめ
ホテル事業は、道楽ではなく、ビジネスとして考えることが必要。
ホテルグレードを決める基本は、マーケティングプランに基づくセグメント特定にある。
これが正しくできていれば、どのグレード、ランクのホテルも正。
いずれにしても、ホテル側の目線ではなく、顧客目線での検証が必要。


簡単に書こうと思ったが、難しいテーマ。
時間のある時、考えてみよう・・・



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