施設維持管理は重要

今朝、電車のなか、臨席の女性が文庫本を読んでいた。
その文庫本、沖縄ミンサー織のブックカバーをつけており、思わず、目がいった。
沖縄フリークなのか、旅行のお土産に買ったのか??
ミンサー織、ブックカバーとしての機能性、腰もしっかりしており、マッチする。
自分も、定期券・カード入れに使用しているが、3年使ってもしっかりしている。
最近、沖縄関係のもの、持っている人が増えてきて、目につくことが多い。
とても良いこと、、、、


ホテルは顧客の目に触れない部分に多額のコストを必要とする、ということは業界人であれば常識。
しかしながら、これは片目をつぶれば、先延ばしできるものであることも、ある意味では事実。
経営不振のホテルにその傾向が強い。
これまでホテル施設売買の現場に立ち会うことが多々あったが、その現実に驚いた。
特に、地方の独立系ホテルにその傾向が強かった。

ホテル施設の維持修繕には、大きく分けて、次の3つがある
・ホテル建物そのもの(屋上防水、外壁保守、窓パッキン保守、等々)
・設備類(ボイラー等を含む空調設備、受変電設備、防災機器類、昇降機、等々)
・内装・家具什器備品類(客室・料飲・宴会場等の内装、他)


建物における雨水等の浸透、知らないうちに大きなトラブルとなるものであり、その対策は重要項目。
外壁タイルも同様、雨水浸透、剥落による安全問題に通じる。


設備類は、新しいものは、性能も上がり、省エネ効果も大きい。
これは、ホテルチェーンでエネルギーコスト管理をしていれば、よくわかる。


内装類は、日常の館内巡回による施設に対する巡視、および客室係による要修繕報告の確立が必須となる。
必要な手順を、コストカットにより、手順カットまでしてしまうと、効いてくる。
傷が小さいうちに補修することを心懸けないと、傷は確実に広がる。

カーペット洗浄、ほつれ補修も同様。
これは、前職での経験でもあきらか。
手順を確立し対応しているホテルとそうでないホテル、5年経過すると、驚くほどの差が出てくる。


インテリアデザインでいえば、時代の趣向・流行があり、これをどの程度織り込むかにより、経年劣化の前に、見栄えが悪くなることが多々発生する。
自社のアイデンテティを忘れ、流行ものデザインのみの取り込みは、昨今の変化スピードの早さに置いて行かれることとなる。
宿泊特化型で顕著、様々なホテルのパンフレットをみればよく分かって頂けると思う。
ホテル名を変えればどこでも使える、と思う程似通っているデザインが多い。
これらが一斉に陳腐化した時の怖さ、ぞっとする・・・・


いずれにしても、中長期維持修繕計画をたて、確実に実行することが理想であるが、現実にはなかなかうまくいかない。
必要性は理解するも、目の前のキャッシュが無い・不足する場合、わかっていても実行することができない。
ただし、設備類における法定点検等、最低限の維持管理は必須となる。


どの様なものにも(人間も同様?)耐用年数は存在する。
特に、設備類は、アウトになってからの対応と、予防点検を含めた計画的な更新では、必要となる累積コストは大きく異なる
ホテルを機能面で生かすには、この定期維持修繕は欠かせない。
前職で、技術部門が運営ホテルを定期的に施設監査、中長期維持修繕計画の下、指導していたが、これは価値ある仕事だと感じていた。
装置産業でもあるホテル、お化粧で表面を取り繕うだけでなく、内蔵診断および生活習慣病を改善することも徹底するべき。
そうしないと、いつ脳溢血で倒れるかわからない・・・・


以前に、宿泊特化型ホテルは、投資回収10年程度(但し、土地代は除く)で判断すべき、と書いた。
(地方都市は無理があるかもしれないが、首都圏、地方有力都市では、適正投資額であれば十分に可能。)
設備の機能耐用年数は平均して15年程度、それらの更新前に投資回収は全て終了、再投資のためのキャッシュ積立も同時進行。
これを受けて、全面更新かスクラップ&ビルドか、の判断が可能となる様に、ということ。
最近の宿泊特化型ホテルの多くはS造、昔のきちんとしたホテルと異なり、相対的に簡単な造り。
外壁パネルのシール寿命も15〜20年だろう。
機能本位の収益施設、と割り切った考えが必要ではないか。
施設維持が不要、ということではなく、考え方の整理、という意味での話。


ホテルの種類・グレード、長期(50年)運営型か、中期(15〜20年)勝負型か、により、施設維持に対する考え方は大きく異なる。
固定的な発想ではなく、ホテル建物のライフサイクルに合わせた施設維持修繕計画をたて、実行することが必要だと考える。
また、企画段階で、こういったことを含めて考えておく必要がある。


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