改めて、ホテルとは?

来週始め、ある大学で90分講義をすることとなり、資料の最終確認をした。
しっくりこない・・・
テーマは、ホテル運営を専門家が業務受託するビジネスモデル、について。
マネジメントの観点からの説明であり、ホテルそのものを論じることではない。
そう考え、資料をまとめたが、しっくりこない。

ホテルの仕組みをある程度は理解している前提でまとめたが、はたしてそうだろうか?
学生は、自分の利用体験から、勝手にホテルのことを理解しているのではないか?
導入部分は、やはりホテルそのものの基本を説明する必要がある。


で、今からお昼休み20分間、独りブレスト・・・・


基本は宿泊業。
よく言われる『ホテルはホスピタリティ産業(Hospitality Industry)、英語語源は Hospital 』という説明。
語源が近いということは歴史も共有するということだろう。
旅人を泊め食事を出しもてなす、病人を必要に応じて入院治療することに通じる?!
確かに、利用する動機は異なれど、近い。
そういえば、設計事務所でもホテル設計GRPと病院設計GRPは近しい存在だと聞いたことがある。

ホテルの基本機能は宿泊&食事、これに加えて、ホテルの規模・性格によっては、宴集会、スパ・エステ等となり、これらの補完機能が追加される。


基本機能は理解したが、それを運営する人はどうだ?
ホテルには、事務職、サービス員、調理人、清掃、施設管理、等々の多様な職種の人が働いている。
こういった人達を採用、教育、ビジネスとして機能する運営システムを作り上げることだ。
当然のことながら、技術だけあればよい、というものではなく、求められる運営品質を具現化することも必要。
航空業では『篭かき・港湾労務者・客引き』が経営の三大要素、と揶揄する表現があるが、言い得て妙、と納得する。
ホテルでは、残念ながら、こういった分かり易い表現ができない。


販売機能も重要な要素、
ひと昔のように、競争も少なく、経済も右肩上がりの時代は、販売に傾注しなくとも、それなりに実績を上げることができた。
しかしながら、競争が激化し、戦略・戦術のない販売活動は、ほとんど意味をなさない。
ブランド戦略もこれに加わる。


で、利用者にとって、分かり易い要素が抜けていた。
施設そのものの品質がある。
いつも言っているように、やみくもに高品質なものもを作ればよい、というものではない。
ブランド、訴求マーケットが評価する施設品質がビジネスの基本。


これらのものを1社で実現することは困難、モチはモチ屋、ここに、ホテル業における『所有経営と運営の分離』、という知恵が発生することになる。
つまり、専門家によるサービス提供がビジネスとなる。
これで、依頼された講義につなげることができる。
よし、よし、これらをまとめて、講義冒頭に、早口でしゃべることにしよう・・・・
いや、導入スライドを一枚追加作成するか??
ニコニコの昼休みとなった。