テーマパークホテルの事例

クルム伊達、すばらしい
テニス選手もアスリートと言って良いなら、陸上短距離選手に似た体の絞り方。
サービス、時速でどの位のスピードなのだろう??


前職で、テーマパーク併設型ホテルの企画をしたことがあり、その時のことをまとめてみよう。
TDL計画時、出店のチャンスがあったが、「遊園地そばのホテル? それってあり?」、という判断で見送った経緯があり、今回は力こぶが入っていた。
テーマパークは、大阪のUSJ。
日本には、TDR、ハウステンボスが大型テーマパークであり、各々オフィシャルホテルがあった。
ハウステンボスは既に落日であったが反面教師、共に先行事例として研究した。
加えて、米ディズニー、ユニバーサルスタジオがある、オーランド、LAX、これにテーマパーク化したラスベガス。
事業予定者であったS金属が組成したミッションに加わり、10日間、東西アメリカを見て回った。
事業者目線というよりは利用者目線、ということを意識しながらの視察だったので、ある意味、楽しかった。
実際に事業化したのはS金属所有地ではなく、別の場所だったが、非常に参考になった。


結論として得た内容は以下の通り
・豪華な施設は不要
・ホテルでの総滞在時間は、仮に連泊であったとしても短い、加えて利用時間は集中する
・ファミリーが楽しむことのできる仕立て、客室面積、施設内容が必要
・料飲施設を大きくしないで、スプリット有りの長時間営業が可能となる様、運営効率を加味する
・コンベンション施設が計画されない場合、団体客をとるにしても宴会施設は不要


現実は、設計者かつ施設所有者(大家さん)であるS商事の意向により、豪華かつスタイリッシュになってしまった
また、平均客室単価を、マーケット規模を考慮し、TDRオフィシャルホテルと比較して3割下げた想定で企画した。
が、USJの不祥事、マーケットが相対的に小さいこと等により、TDR平均の半額以下となり、事業性の厳しい案件となった。


継続して好況を維持しているTDR。
また、TDR直営・テーマパーク内ホテルは事業性を確保している。
これらは、テーマパーク併設ホテルが求める機能を精査、具現化したホテル、だ。
顧客評価がホテルの評価の全てであり、TDL来園者は非常に高く評価し、顧客の利用目的に応じて使い分けている
TDR直営3ホテル、お金をつぎ込んで豪華にしたというより、TDL利用者のニーズを適格につかみ、顧客の求めるものをファンシーに表現している。
また、TDL直営のメリットをフルに生かしたパークとの連動性も確保、評価を高める一因となっている。
ホテルビジネスとしても成功事例といえる。


これらが、TDL開園とあわせて開業した、先発ホテル群(シェラトンヒルトン、等のホテル)との違い。
当初は、TDL来場者も素人、ホテル側も素人、都内のホテルがパーク横に引っ越してきた、という感じだった
その後、利用者要求もこなれ、また、国内外の先行同型ホテルの営業状況を研究し、その必要機能が分かり、徐々に進化していった。
現在のホテルポジショニングを乱暴に色分けすれば、次の様になろう。
トップ:ミラコスタ、アンバサダー、ディズニーランド
セカンド:ヒルトン、シェラトン、オークラ
ミドル:東急、サンルート、ベイ舞浜
エコノミー:オリエンタル、プラナ、パーム、等々
トップのない時代は、現在のセカンドクラスがマーケットを引っ張ったが、その後は、セカンド、ミドルの差が大幅に縮まってしまった
TDRといえども、ホテルマーケットには限界がある、ということだ。


一般的に、ホテルは、最大公約数的に企画する。
良く言えば誰にも合う、悪く言えば個性に乏しい、ということ。
このため、Wホテルの様な、良い意味でも悪い意味でも個性の強いホテル企画も出現している。
テーマパーク併設型ホテルは、顧客の利用目的が絞られており、企画する側にとって相対的に簡単だが、テーマパークの盛衰がホテル事業に直結する。
ハウステンボス、USJ等のホテルがその好例。
リスクヘッジを、なにで、どの様にするか? 結果として難しい判断が求められる。


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