久々の温泉旅館

先週末、某有名老舗温泉旅館に宿泊した。
長男も結婚、最後の家族旅行? という意味もあり、少々奮発した宿泊だった。
総合的に満足できた宿泊だったが、つい仕事モードで、施設・運営内容を点検してみた。
この過程で、企画に参加しているホテルの料飲施設、どうしようかと考えていた参考事例が見つかった


FIT向けのレストラン、部屋食以外はここで朝夕を出す。
夕食時はサービスバーとして機能、朝は、コックが卵料理等を調理する、と同時に、ブッフェ卓となる。
卵料理をすると、調理臭と煙が出るが、対応としてフードを常設
それでは夜の営業に差し支えるが、デザイン的にうまく収めているし、夕食時、全く気づかなかった。
ただ、朝、バックバーをうまく隠していないのが難点


やはり、場数を踏むことが大事、改めてそれを感じた。


温泉旅館、これはランク(=価格)により、提供される内容は大きく異なる。
立地環境、施設・設備、料理、サービス、の集合体が価格に表現されることになるが、これに対する評価は顧客の専権事項
この顧客評価は、WEBの発達により、広く知れ渡る。


ネット発達以前は、旅行代理店がこれらの評価を管理、必要に応じて、旅行手配を依頼する顧客に対して提供していた。
JTBの顧客満足度調査が代表例。
旅館側は旅行代理店および添乗員の方を向いていれば良かった、ある意味で簡単な時代だった。


興味があったので、複数の旅行手配WEBの、施設別顧客評価コラムを覗いてみた。
評価ポイントは、若干の差異はあるも、料理に対する評価が多い、かつ評価が左右されている


温泉施設、宿泊機能等の基礎品質を維持運営していくため、一定の運営コスト(人件費等を含む)が必要になることは当然のこと。
このため、1泊2食が基本の温泉旅館では、かけることのできる料理原価の限界は、売価−(運営コスト+想定利益+施設更新積立)となる。
しかも、曜日波動、季節波動の大きいことが温泉旅館で宿命固定費低減のための努力も併せて求められることとなる。
従って、旅館としては、高単価が期待できる曜日・季節にどのように売ることができるか、OFF期の集客を何によって伸ばすのか、が販売上の工夫となるが、考えることはみな同じ。
温泉旅館は、温泉地に集中しており、ダントツ1番店として頭抜けている施設以外、競合施設も同様の行動をとる。
認知度の低い限界供給施設は更に困窮する。
流行りもののイールドマネジメントがどこまで通用するのだろうか??


顧客の立場に立つと、同等商品を週末に高くし、週なかに安く提供された場合、そのアベレージが「料理原価」となり、得する人とそうで無い人に不公平感が出る
こういった点も顧客評価に現れてくるのだろう。


ホテル業界、宿泊特化型ホテルが、B/Eの低さを生かして、シングル客室を価格破壊したが、温泉旅館の場合はどうだろう?
一部にそういった動きはあるも、温泉旅館のコスト構造からみて、従来の運営方法を維持したまま価格戦略をとることは、難易度が高い
平均売価が下降すると、コスト低減圧力が発生、低減には限界があり、結果として施設更新が後回しになる
こういったジレンマをどのように解決しようとしているのか? 興味が尽きない。


次は、1泊料金を15〜20万円(2人使用)程度とした小型高級旅館を検証するため、更に奮発してみるか・・・


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