ホテルにおける料飲施設計画
今年のGW、JR東日本のツアーパンフを眺めていて、下越方面への小旅行を思い立った。
行先は、村上、新潟。
パンフで気づいたこと、村上は、村上牛、鮭、酒が良い。
酒は、大洋酒造(大洋盛・越の魂)、宮尾酒造(〆張鶴)
鮭は、三面川を遡上する鮭漁
村上牛は、村上市、関川村、胎内市で飼育された格付等級A-4・B-4以上の黒毛和牛
4日お昼、村上到着後、この3種類をワンストップで堪能できる店、『千渡里』へ直行。
10種類以上の料理を堪能したけれど、村上牛の酒粕漬、鮭の酒浸し、これをあげたい。
いずれも、地元食材を酒を使って調理したもの。
素材は良いし、素材そのものも美味しいけれど、ひと手間かけた調理がお目当てであり、技術の差が出てくる。
そういった意味で、この『千渡里』は正解だった。
ところで、、、
4日夜、新潟へ戻り、ホテル日航新潟へ宿泊した。
このホテル、前職時代に手掛けたプロジェクト、その後の姿に対する興味があった。
新潟県が進めていたコンベンション施設(朱鷺メッセ)建設との一体計画であり、全体計画との整合性をとる必要もあった。
また、施設着工(基礎工事終了)後に参画したプロジェクトであり、設計変更要求への限界もあったため、不満は随所に残った。
(朱鷺メッセHPより転載)
この高層棟の3〜4階、23〜30階がホテル施設。
JR新潟駅から徒歩15分程度、街の中心からも外れ、佐渡連絡船埠頭、『万景峰号』も寄港・接岸していた港地域にある。
このため、宿泊需要は別としても、料飲施設は苦労することが予測されていた。
当初計画
客室:シングル客室数が70%強、つまり、業務出張客を主体とした計画
料飲:コーヒーショップ、和食、スカイレストラン、メンバーズラウンジ
宴会:800㎡大宴会場、その他は小宴会場のみ
検討経緯のまとめ
客室:立地環境から、業務出張客を主体とした前提はどうだろう
観光需要を含めた2人以上使用を推進することが必要ではないか
和食:街なかには料亭、割烹、寿司屋、等の競合店がひしめく
良質素材が簡単に入手可能、家庭調理との競合も厳しい
ただし、新潟市は外食率が非常に高い街であり、一定需要はある
市内の競合店、および利用形態を検証すると、中国料理が候補としてあがる
スカイラウンジ:顧客回遊動線から外れており、1回の来店はあるも、その後はどうか
宴会場:競合ホテルは大宴会場を持ち、強力な人脈営業も確立している
婚礼等の個人宴集会はあるも、実際の企業宴会は少ない
ブランド営業が可能な個人宴集会を取り込むべき
この様な検討を経て、今の姿がある。
飲食施設に絞ってみると、次の様になった。
和食⇒中華としたが、これは当たり、と思っている。
市内には良い中国料理の店が無く、外食比率の高い街には、テーブルを囲むことのできる家族使い中国料理がマッチしている。
建物内位置も一番良い場所、広い窓からは信濃川・万代橋も良く見え、明るい施設となっている。
ホテルの和食堂、事業性確保は困難、この変更には抵抗も強かったし、現在も顧客からの不満が出ていることは予測可能。
しかしながら、少ない飲食施設で事業性確保するために必要な判断・決定だった、と考える。
最上階のスカイラウンジを取り止め、スカイバンケットにした。
競合ホテルとの差別感を出せる施設となっている。
これも、ホテル料飲施設としては魅力減、となったかもしれないが、事業性という点においては、結果として良かったと考えている。
コーヒーショップ、これは、施設面での改良すべき点が多々。
朝食帯は、当初からブッフェサービスだったが、地域需要からみて、週末は、終日、家族向けのブッフェサービスが主となる。
このため、ブッフェ卓の設計が非常に重要となるが、規模・仕様・再配置、を検討する必要がある。
当初計画と異なる運営スタイル故だが、開業後の変更を、当初計画で考慮していないと、苦しくなる。
朝食をこのレストランで摂った。
運営面では、非常に工夫をしており、メニューレベルも高い。
卵料理だけで4種類、地域食材の使い方も工夫しているし、アピールも良い。
良い料理を上手に提供している故に、ブッフェ卓を何とかしてあげたい、という強い気持をもった。
本部から総支配人として出向しているW君、開業時から在職しているN君、またM君とも会うことができた。
皆、良い顔をして頑張っているし、これからもその頑張りを継続して欲しい。