仕事に精進する
京都には、磨かれた和食が随所にある。
ただし、お代もそれなりに高いことがネック。
自分の財布では、なかなか行くことができない。
そのなかにあって、『食堂おがわ』は、内容・価格共、申し分ない。
一般的には居酒屋という紹介だけど、料理内容は並の居酒屋ではない。
店主の小川さん、馬蹄形のカウンター内で、本当に精進している。
ここ数年で、予約が取りにくい店のトップクラスになってしまった。
予約は1か月前から、出張のついでにちょっと、ということができなくなった。
dancyu11月号でも、京都案内のトップページに登場。
予約をとることのハードル、更に高くなった。
ところで、、、、
最近の話題は、もっぱら『食品偽装』
メニュー記載の内容と、産地の違い、食材そのものが異なる、と大別できる。
産地産地消、ブランド産地の出現、等により、積極的に産地表示をしたこと、一方、産地からの安定供給が追い付かず、メニューを書き換えないまま代替食材に手をだした、ことだろう。
食材そのものが異なる、これは論外。
なぜ、この様な問題が起きたのか、運営側からみてみよう。
新メニュー作成の現場では、次の様なことが実施され、関係者の厳しいチェックが行われることが、基本。
現場任せでは、不要な罪作りとなってしまう。
・アイデア出し
メニュー会議等での検討・検証を行い、アイデアを取捨選択
・レシピ作成
使用食材・調味料、調理方法、使用什器、原価等を詳細に把握
・試 作
調理担当部門で検証
・社内関係者との調整
調理担当の他、食材調達担当、原価管理(FBC)担当、サービス担当、メニュー管理者
(注)FBC(Food & Beverage Cost Cotrol)=飲食材原価管理
食材調達担当
安定的に要求される食材調達が可能か
グランドメニューの場合、年間を通しての安定調達を意識、念入りに調査する
季節メニュー、往々にして要求数量・品質が確保できないことが発生するため、更にチェック
原価管理(FBC)担当
レシピを基に、原価計算
必要に応じて、スチュワードに使用予定の什器を確認
サービス担当
什器備品等、サービスに要求される内容を把握
メニュー管理者
メニュー構成上のバランスをチェック
原価を基に売価を設定、メニュー表現を確認
広報が必要な場合、広報担当者と協議し、販促パンフ等を作成
・関係者による試食
意見を基に、要求品質となるまで、試作改良を繰り返す
・メニュー記載・サービス開始
サービスは、メニューおよび提供食品を理解し、問題があれば、厨房へ確認
顧客反応を確認、改善が必要な場合は対応
顧客への接点(最重要)であることを自覚
今回の陳謝会見の内容を検証すると、ひとつの傾向を見てとることができる。
それは、原価管理(FBC)が機能していない、ということ。
加えて、サービス担当者が、提供する食品を理解していない、ということ。
FBCの日常業務は、納品伝票・売上伝票、のチェック、必要に応じてメニューとの照合。
特に、納品伝票を詳細に確認していれば、容易に発見できる内容が多い。
本当に地味な仕事だが、この役割、料飲・宴会売上の大きいホテルでは大変重要な仕事。
流通が進んだ現在、ストックではなく、直納として、毎日納品が行われることが多い。
生鮮品は、毎日納品が普通。
発注担当者、調理部門からの発注要求を確認することが、第一の関門。
次が検収担当者、それぞれがメニューを頭に入れていれば、メニューと異なる発注・納品に気付くであろうし、翌日になるが、バックアップ機能として、FBC担当者も気付く。
前述の業務内容、大型ホテルの事例であり、小型ホテル・料飲施設の少ないホテルでは、各々専門家を配置することができないことは理解できる。
兼務発令もありうるが、省略したポジションをどの様に補完するのか?
内部監査・統制としてのスキル、全体を見渡し最適解を求める経営センス、この組合せが求められる。
当初からFBCを導入していないホテルは論外、経費削減、人件費削減のもとに、一見不要(or屋上屋)と勘違い、FBC機能を無くしたホテルが多い。
リストラが進んだ時代にホテルに入社したホテルマン、この様な基本機能が必要だと認識する機会も少ないだろう。
失墜した信用を取り戻すためにも、この機能を見直す必要がある。
このチャンスに業務改善することができないホテル、再度の厳しい事態を招くことになる可能性が高い。
いつするの?、今でしょ!!、という言葉を思い出す。
これら一連の改善、仕事に精進する、ということに通じる。