食品偽装に思うこと。。。

巨人の星川上哲治氏、逝く。。。

当時、周囲の環境を気にしながら、密かに巨人を応援していた。
ただし、ある時期から、資金力にあかしての選手強化、これに馴染むことができず、戦線離脱。
勝ち方に対する美学、これが見えなくなったことが大きな理由
結果として、弱小チームの応援に廻った。
で、家人の影響もあり、最近、ひいき目に見ているチームが広島
チーム内養成により選手を磨いている姿が良い。
汗をかいている姿、更に良い。。。




ところで、、、
海老沢氏による著『美味礼讃』、初出は別冊文藝春秋での連載。
大阪にある辻調理師学校を興した辻静夫氏の足跡を詳述した本。


知人に勧められた本、都合2回読んでみた。

日本におけるフランス料理の黎明期を中心に書いているが、その時代背景を理解することができる
昨今の食品偽装を思いながら、心に残った部分を抜き出してみた。
⇒ 以降が引用箇所。


仏・ピラミッドのマダムが、毎日手書きニューを作成していることをみた辻氏の質問に対して
いったん印刷してしまったら、よい材料が手に入らなかった時でもその料理を出さなければならなくなる
でも、こうして材料を見てからメニューを決めれば、常に最高の料理を出すことができる。


本物の料理を作ろうとすると原価が法外にかかる、ということに対して
⇒ 将来、これ以上はないという料理を作ったとしても、それを食べてくれる客がいなかったら商売として成立しない。
その場合、君達は店の立地条件や客層を考えて、それに合った原価で料理を作らなければならない。
しかし、どういう場合でも、こうあらねばならぬという本物の料理は知っておかなければならない。
それを知らなければ、どのくらい手を抜くかということも分からないからだ。


ホテルオークラの初代総料理長だった、故小野正吉氏の言葉
⇒ コックで大事なのは要領じゃあないよ。誠実さだ。


義父・徳一氏の料理が時代遅れになったことに対して
⇒ 何も知らない生徒だけを相手にしてきた料理人と、日々客の舌によってその料理を試されてきた料理人との違い


長男が英国に留学、その寂しさを感じた夜
⇒ 料理と人間の関係というのは妙なものだった。
どんなに美味しい料理でも、気分と体調が完全でなければ美味しいと感じないのである。
・・・・ それは、料理人がどんなにおいしい料理をつくっても、食べる方にその気がなければ何の価値も生まない。


学校の元教員が独立して神戸に開店した超高価メニュー店の失敗
⇒ 値段と客層が一致しないのかもしれないとは、一度も考えなかった。


小野氏の言葉と同義の内容、加賀藩の料理人のことを研究した『包丁侍・舟木伝内』にも出てくる。

伝内、料理の技術のみではなく、心構えを含めて、子孫に伝授しようとした様だ。
⇒ 料理人の心懸けにいろいろあるが、その一つとして心が賤しくなってはいけない
心が賤しくなれば、取り合わせも味つけも切形もことごとく賤しくなる。
心が賤しいと、・・・、微妙なところで「心の味」」が悪い、、



引用しなかったが、サービスのプロの話も頻繁に出てくる。
レストランにおける調理とサービスのコンビネーション、非常に重要な要素として様々な場面で記述、全くその通り。
調理場との関係においては、調理人の工夫と心意気を正しく顧客に伝えることができるのがプロのサービスマン




食品偽装に対する陳謝会見内容、『美味礼讃』を読み進めると、食品偽装に至った調理人のこころ内、更に予算制度により利益創出を強要する経営、これらのことがみえてくる。
また、改善に必要な内容もみえてくる。


グランドメニューを安定的に提供するための調理人による工夫、これを悪意の食品偽装と同一視することは宜しくない。
顧客に対し、魅力的かつ正しく情報を伝えることができるメニュー、この工夫もみえてくる。


しかしながら、再発防止の精緻な検証システムを構築しても最後は人、関係する人の気持ちにかかってくる
社内の人のネットワークを強化し、自発的な情報の流れを促進する」、必要がある。
この点を忘れてはならない。


偉大な先人の努力・経験を無にしない様な業界にしたい、と強く願っている。


http://www.timeandtide.co.jp/