運営組織と業務との関係 その2

今日は終戦記念日
悲惨な戦争を繰り返さない、と改めて確認する日。
そのためにも外交手腕を磨く必要があるが、今の日本はどうだろうか・・・・


ホテル運営組織に関する話を続けよう。
昔、ホテル屋が言っていた言葉「ユニフォームからスーツへ」は、管理職への昇進の意味。
いつユニフォームを脱ぐことができるか? は、ひとつの夢だったのだろう。


今日は、日常業務とからめた話をしよう。
PMSの導入が進み、基本的な業務がブラックボックス化、なぜ? という部分が見えなくなっている。
それはそれで良い、とも思うが、しかしながら??


昔の宿泊予約係は、丸いテーブルに座っていた。
それは、中華の店で円卓を囲む様なもの。
で、料理を置く卓上に、月別(1日1ページ、全客室分)の、大版の予約台帳が置かれ、電話が入るたびに、それを取り合い、けし込み&必要事項を記入していた。
また、予約カードに予約内容を記入し、チェックイン日別にカードボックスへ仕分けしていた。
予約台帳には、旅行代理店へのブロック提供も全て記入され、これにより客室棚卸しをしている。
つまり、予約台帳は客室インベントリー、予約カードは予約明細、との整理。
オーバーブックする際は、責任者に断り、予約台帳にその旨記入した。
大型ホテルでは人員を張ることができるため、予約セクション内に、送客元集計等の各種営業統計をとる係もいた。
花の手配、VIP対応、売掛処理のための経理承認、予約前受金、等々、付帯業務も多々あり、それらをそれぞれの担当セクションへ情報伝達。
最新のPMS導入後、予約はフラットになり、各種手配等は該当日に備えて担当へ自動伝達、統計等もPMSが全部引き受け、単純業務は大幅に軽減、員数も削られた。
代わりに、レベニューマネジメント担当が加わり、攻めの予約業務となっている。
で、現在の組織がある。
これらの一連の処理、コンピュータ化される前の航空会社も同様。


フロント・料飲会計・宴会会計等の現場会計業務は、もっとドラスティックに変わった。
現場の会計処理には本質的な違いはなく、1日の締め方の変化。
PMS導入前の深夜
フロント係は、予約係から回ってきた予約カードに従い、ルームカウントシートで、1日分の客室料金合計金額を計算
フロント会計は、NCR42号機(知っている人が少なくなった)で、予約カードによる客室料金計上を含め、1日の売上を計算
作成したフォリオ、関連資料等は、部屋別のフォリオラックで整理。
その間、予約キャンセル、変更等が日常的にあり、双方の係間の連携がうまくいかないと、トラブルはしょっちゅう。
フロント係とフロント会計、双方、自分のセクションが正しいことを願いながら、本日の客室料金合計(客室収入合計額)が一致するまで、ずーっとやる!


また、チェックイン予定日の前夜、予約からフロントへデータと権限が渡る。
予約変更でホテルへ電話した際、当日分か、それ以外か、と問われるのは、そのため。
いずれにしても、PMSの導入により、予約データは既に予約で入力済、1日の集計は自動。
フロント、フロント会計との壁も無くなり、組織は一本化された。


PMS導入前、ナイトオーディター(Night Auditor)という深夜のプロの仕事師が活躍していた。
宿泊、料飲、宴会、その他の各種営業部門からあがってくる売上伝票等を精査、集計。
宿泊客が部屋付けにした売上伝票も集計し、NCR42号機集計と照合。
特に、売掛伝票類は、クレジットマネージャー(売掛責任者)が承認しているかも併せてチェック。
もっとすごいのは、売上伝票、全て連番が付与されており、それをチェックシートにより、使用状況を完全にチェック、伝票紛失は厳しく追求される。
少数のホテルでは、別の係が人件費・原価・経費を同様に集計、売上等の集計に加えた、1日の概算収支表ができあがる。
これらの最終レポートの前に、様々なワークシート(個別集計表)を作成、次工程へつないでいく。
この頃の会計担当者の電卓をたたく神業の様なスピード、若い人に見せたい。
翌朝、総支配人、コントローラーの机上には、前日の詳細な報告書が置いてある。


これらの夜間業務が、PMS導入後、見事に無くなった。
レポート類の集計は、PMSがしっかり代行、入力が正しければ、正確なものができあがる。
また、売上伝票の扱いが軽くなった。
以前、ホテル会計のブログで書いたと思うけれど、1日の集計表(Night Auditor`s Dairy Report)を作表できる人、今やほとんどいない。


今、ナイトオーディター職務が正しく機能しているホテル、どの位あるだろう??
内部統制という点では後退、翌日の収納責任者の仕事が増えた。
手作業時代の業務処理基準、作業手順上やむを得ない業務と不正防止のための工夫がある。
ここに書いただけでも、ミス、不正の発生する余地がある、と、おわかり頂けると思う。
入力即最終レポート、となるため、チェック業務は別の視点が必要、それらを省略すると、後で地雷が爆発する。
既存ホテルへのPMS導入時、これまでの運営基準や運営組織を見直すことをしているだろうか?


まだまだあるけれど、長くなる(もう十分に長い〜〜)から、今日はこれでお終い。


http://www.timeandtide.co.jp/